本格的に始まった海斗の治療。


オレは、アイツを支えるために
今オレ自身が出来る精一杯を務める。



ただアイツがオレに求めるのは、
(傍にいて見届けること)。



そして、オレが無理をしないこと。




病院勤務の合間、
アイツんちのおばさんが一人で
頑張ってるお店に顔を出しては、
ご飯をごちそうになって、
少しだけ手伝って帰ってくる。



そんなオレを鷹宮院長夫妻や水谷さんは
温かく見守ってくれた






勤務の後、おばさんの店を少しだけ手伝って
鷹宮邸に帰宅したオレは、
睡眠を貪って、いつものように朝が訪れた。




まだ寝ぼけている体を起こして、
ジャージに着替えると、
自分の部屋から母屋の玄関へと向かう。





「「おはようございます。
 嵩継さん」」






オレよりも先に、
玄関前に姿を見せて軽く運動をしてるのは、
勇人と千尋君。




「あぁ、おはよう」



オレも軽く伸びをして、
そしてアキレス腱を始めとして
順番に緊張をほぐすと
軽く腕をふりながら、
ジョギングを始める。



オレが走り出すと、
後ろから二人も並んでついてくる。




暫く……してなかったなー。





これが此処に来てからのオレの日課で
生活の一部だった。




忘れていた当たり前の日課。





心が吹っ切れた今は、
目に映る景色の全てが
とても鮮やかな色に感じた。