Eternal Silence








嵩継から病名を知らされて、
下降していた
俺自身の全てを曝け出すことが出来た
唯一の相手。




『海斗さん……。

 単刀直入に聞きます。
 嵩継さんと何かありました?


 最近、嵩継さん家にも帰ってこないし
 当直の日以外は、毎日決まった時間に
 近所の公園までジョギングしてたんですけど
 姿見せなくて』




高校の頃は、新聞配りながら
ジョギングしてたっけ。





思い浮かんだ懐かしい時代に
笑みを零す。


『アイツ、早いだろ』

『はいっ。

 何か呼吸にコツがあるみたいですね。
 嵩継さんの呼吸と、
 僕や千尋の呼吸。

 走ってる時、全く違うんですよ』

『そうそう。
 俺も高校の頃、悩まされたよ。

 負けたくなくてアイツのペースに
 スピードあげたら、
 呼吸がヤバくてついて行かないのな。

 すぐにへばって、
 スピード落としてた』


『いいなぁ。

 何か……嵩継さんと海斗さんの高校生の頃とか
 凄く楽しそうですよね』






そう言いながら、
勇人はベッドサイドに座って、
俺の前にお菓子を並べた。




『甘そうだな……』

『かもしれないですね。
 でも、嵩継さんつまみぐい得意ですよ。
 このチョコレート』





金紙の中に、
包まれた丸い球体のチョコレート。




箱の中から一つ掴み取ると
そのまま口の中へ放り込んだ。





『生クリームで伸ばしてるんだな。

 濃厚な味わいなのに甘すぎなくて
 美味いな』


『でしょ。

 嵩継さんの最近はまってる食べ物
 気になるかな?って』





そう言いながらも、
目の前にコイツもなかなか
本題には踏み込めないで居るようだった。