『嵩継……』



……アイツ……



夢の中……海斗の声が
聴こえた気がして……
オレは目を覚ました。



目覚めは快調。



海斗の病気を知った
あの日から……
いつも……
重苦しい
朝の目覚めだった。




だけど……今日は
すっきりした……朝。



ベッドのうえ、
オレは軽くノビをする。




あの日……
勇人が迎えに来て
ここ、鷹宮に
帰ってきたオレは
流石に……
雨に打たれすぎたのが
ヤバかったのか……
鷹宮家の連中の
顔を見たとたんに
糸がプツリと
きれちまったみたいで
フラフラのまんま……
ぶっ倒れた。




そして……何度も……
アイツの夢を見た……。





アイツは
真っ白い世界を
ふらふら、
歩いて……。




ただひたすら……
歩いて……。




そんなアイツを
オレは……
海斗の
名前を呼びながら
何度も何度も
追いかけて……。






追い続けて……。





どれくらい……
追いかけただろうかっ。




ふと……夢の中……。
アイツが
昔みたいな
悪ガキの表情で
オレに振り返った……。




『しゃーねーな-』
って。




聴こえた気がした。




「こっちが……
 しゃーねーなっ。
 なんだよっ!!」




毒づいてみるも……
やっぱり……
心は何処か
嬉しくて……。




元来た道を
てくてくと
戻りゆく……
海斗を追いかけたら……