思い返す記憶は……
どれも……
自然体とは
遠くかけ離れたもので……。
時折……自然体に慣れた時間は、
全て、アイツが
引き出した時間のように思えて。
「……勇人……。
お前なら……どうする?」
オレの質問に……
勇人は……
驚いたような表情を見せて
向きなおる。
そして……
その意図することに
気が付いたアイツは
深呼吸をしてこういった。
「僕は……
見届けます。
それで……
僕が……
どれだけ傷ついても
それ以上に……
大切なものが
そこにはあると思うから。
人……一人の命の重みが
あるんだから……
痛くないはずないんです。
だからこそ……
大切だからこそ……
自分の中に
深く、
刻み込んでいきたいって
思います。
その人が生きた証を……。
忘れないために……。
矛盾してますよね……。
一方では……
僕は……消えたいと願うのに……
もう一方では……
見届けたいって思うんです。
だけど……。
どちらも……
僕自身だから……。
だから……
僕が僕として……
歩きやすい道を
選びたいって思うんです。
今……
距離をとったら……
それこそ……
前に進めなくなるから。
だから……。
見届けたいんです」
静かに……
諭すように……
自分の言葉を
紡ぎだす勇人の芯は
深くしっかりしていて……。



