「これは……ひかりのブレスレットの……」

どす黒い赤さを帯びていたブレスレットは、一番最初に見た時の色に戻っていた。

ひかりが小杉を好きと言った時のままの穢れのない色に。

「そうらしいね。これを見ても浄化されたのだとわかるよ」

あたしはそれをぎゅっと握りしめて胸にあてた。

「また会おうね。ひかり」

くるっと崖の方を向くと、握りしめていた一粒のローズクォーツを海に向かって投げた。

宙を舞う天然石がキラキラ光る。

海に落ちていくのを瞬きしないで見ていた。


「ありがとう。亜美ちゃん」

ひかりの声が聞こえた気がした。

END