「ああ。崖に向かう俺の頭にも同じものが入ってきたんだ。可哀想な子だったんだね」

「……はい」

あたしは昨日の崖に立った。

下を見ると荒れる海で、身がすくむ。

「ひかり……来世も親友でいてね。さようなら」

遠い地平線を見つめて、ひかりにさよならを言う。

ひかりがあたしに見せた霊体験は怖かった。けれど、ひかりの受けた傷に比べたら、あんなこと大したことはない。

いきさつを知られて良かったと思う。

「本当に君たちは仲が良い友達だったんだね」

「はい! そんな言葉じゃ言い表せられないくらいに」

これからもひかりを忘れない。

海を見ていたあたしは振り返り、拓磨さんを見た。

悲しみの笑みを向けた時、地面にきらりと光る物を見つけた。

しゃがんで光った物を指先でつまむ。

それはきれいなピンク色のローズクォーツの一粒の石。