階段を下りて1階に行くと、談話室の前はサッカー部やテニス部の部員が集まっていた。

ガラスが割れたのが、誰かに聞こえたようだ。

「玲奈! ひかりはっ!? 小杉たちは大丈夫!?」

「小杉たちのケガは酷いけど大丈夫そう。ひかりの気配が……」

目を閉じ、ひかりを探そうとする玲奈。

玲奈より早く玄関に立っているひかりを見つけた。

まるであたしを待っていたかのようなひかりに足が動く。

「亜美! どこへ行くんだよ!」

翔平に背後から腕を掴まれるのを、振りほどく。

「亜美!?」

あたしの意思じゃなく、脚が勝手に動いてしまうのだ。

赤いブレスレットはあたしの右手にぎゅっと握られたままで、それはしだいに熱を帯びてきているようだった。