「えっ?」

「だって、さっきから翔平ばかり見ているから」

「な、なにもないよ」

「本当に? それならがっかり。キスでもしたかと思ったんだけどな」

「みのりっ!」

周りにいた女子部員が興味津々に話しに加わってくるから、あたしは否定するのに必死。

手を振りで否定するあたしは不意に寒気を感じる。

足元からゾクゾクとした寒気が上に上がってくる感覚。



『シアワセ……デ……ウラヤマシイ……』



耳元でひかりの恨めしそうな声が聞こえて身体が跳ねると共に、手に持っていた箸を落としてしまう。

箸を拾わず、辺りを見回すけれどひかりの姿は見えない。

ひかりを探す瞳が、玲奈が少し離れた席から立ち、あたしの瞳とぶつかる。

声を出さすに「大丈夫?」と言っているようだ。

コクリ、玲奈に向かって頷くと、ストンとイスに座る。