「亜美? どうした? 驚いた顔をしているけど?」

翔平が覗き込むように聞いてくる。

やっぱりこれは現実!

「やっぱりお腹いっぱいだからいいや。先に行って!」

ひかりはどうしてふたりに付いて行くの?

心に不安が広がり、小杉の方へ足が向いていた。

「おい、亜美! 木下、悪い! 先行ってて」

「おう!」

翔平の呼び止める声が聞こえていたけれど、河川敷を降りて草野球が出来る方へ歩いていく2人を追う。

ひかり、なにをしようとしているの!?

2人の後からひかりが付いて行く。

小杉と女の子がまっすぐ川に向かっているのはなぜ?

あと、2人に5メートルほどのところで――

『ジャマシナイデ……フフフ……フフフフ……』

耳元のひかりの声に「ひっ!」と足が止まる。

おそるおそる顔を声のした方へ向けると、いつも見るように頭から血を流しているひかりが不気味に立っていた。