そこへ翔平と男子部員があたしたちの方へ走ってくる。

「大丈夫か?」

真剣な表情で翔平があたしに聞く。

顧問から聞いて様子を見に行くように言われたようだ。

「とりあえず……ドアが開かなかったんだって」

「ドアが開かなかっただけじゃないよ! 外の壁をバンバン叩かれたのっ!」

あたしの答えが気に入らなかったらしく、みのりがムキになる。

「じゃ、誰かのいたずらか? それともやっぱりこの学校、呪われているのかもな」

男子部員が冗談めいて聞く。

「やめてよっ! 怖いこと言わないで」

泣きそうなみのりだ。

夏休みになっても、学校が呪われている噂話は尾ひれをつけて飛び交っている。

「みのり、落ち着いて。誰かのいたずらだよ」

部長に諭されて、みのりは大きく息を吐きだした。

みんなは呪いとかではなく、誰かのいたずらだと考えているみたい。