なっ、なんだよっ!!!



いきなり振り向くなよ!!!授業中だってのに!!




一気に心拍数が上がって、また顔が熱くなった。


吉井は私のノートに長くて綺麗な指を伸ばした。



えっ、えええ????




私の文字を指でなぞると、


顔を上げて、またあのくしゃっと笑うかわいい笑顔を見せた。



だっ、だから!なぜ私の顔を見て笑うんだ!お前は!!!



やばい、


ドキドキしすぎている。

意識しすぎている。



落ち着け、私。


普通に普通に、平常心だ。


ただ、答え合わせ的な感じだって。


ただ、それだけだって。




ぎゅっと唇を噛みしめたら、


吉井は、ちょっと不思議そうに首を傾げて、


私の頭に手を伸ばしてきた。





はっ?



はっ?????????




頭.........ぽんぽん..........





吉井は優しく微笑みながら私の頭から手を離して、


また前を向いてしまった。



頭に残る、吉井に撫でられた感触。





こんな不意打ちあるかぁぁぁぁ..........





私はおでこに手をあてて俯いた。




なんでこんなに吉井に振り回されてんだ、私。


落ち着け、落ち着けぇい!


一から整理するんだ。


吉井は、宇崎さんが好き。


私には関係ない。



もし、万が一億が一私が吉井を好きになったとしても、



なったとしても..........



私は失恋することが決定している。



だから、落ち着くんだ。


こんなへんな感情を、これ以上膨らませてはいけない。





吉井はかわいらしい宇崎さんが好きなわけで、


私なんか.........



私みたいな、女っ気のないデカくてきつい女、


吉井だけじゃない。


男は誰だって私みたいな女、好きになるはずない。