私が話題を変えたことにより、
たきのりのソロの話題になった。

「凛のソロ、また聞きたいなあ…
合唱部、戻らないの?」

と雪乃。

「いいの!料理部も結構楽しいし。」

とたきのり。
たしかに、こいつは甘いもん大好きだしな。

「ああ、凛の大好きな甘い物、
たくさん作るもんね。」

雪乃も同じことを考えたらしい。


「生クリーム泡立てるの、
異常に遅いけどな。」

私が言うと、

「本気で砂糖と塩を間違えた彩音には、
言われたくないですー」

とたきのりが返す。

「本当に楽しそうだね。」

そして雪乃が笑う。



楽しい…


「彩音が面白いことしてくれるから、
飽きないよ。」



この時間がずっと続けばいい。
ずっとここにいたい。




そう思っているのに―――



「むっかー!
人で楽しむなって毎回…………っ!」



嫌な人影が見えた。



「な、んで?
なんで、あんた、ここにいるわけ?」


私が見た人影は、人違いではなく、

私を現実に連れ戻しに来た、

先生の姿だった。