「し、知らないわよ。そんな事……」

「そうですね。あなたは慶次から色々と情報を得たようですが、例えば真田家で由緒ある名前とか……」

「ちょ、信之さん……?」

「おまえは黙ってろ!」


俺が一喝すると、慶次は口をつぐんで頭を掻いた。顔は相変わらずニヤケながら。


「僕の性格については把握してなかったようですね?」

「な、何を言ってるのか分からないわ」

「まあ、いいでしょう。僕もそれだけでは疑うまでは至りませんでした。ただ、未来は変化しているかもしれないと思いました。だったら、あなたと結婚しない選択肢もあるのかなと……

おそらく慶次からの情報で、僕の迷いを知ったあなたは、もう一度タイムスリップして来た。1回目と全く同じ方法で。いや、シチュエーションで、ですかね。

今度は小松がはっきり見たと言った。あなたが消えた瞬間を。また小松です。それを聞き、僕は信じざるを得ないと思った。ところがです。あなたはミスを犯した。一つは小さなミスですが、もう一つは大きなミスでした」