俺は遠慮する運転手さんにチップをはずみ、後部座席に乗り込んだ。すぐに車は走り出したが、つい顔がニヤケてしまう。
「ご主人さま、何か嬉しい事でも?」
横に座った小松が、不思議そうな顔で俺を見ていた。
「そりゃあ嬉しいさ。俺達が相思相愛だとわかったんだからね。それと……」
「はい?」
「ハネムーンへ行こう?」
「は、ハネムーンですか?」
「そう、一晩だけのハネムーン。都心の一流ホテルのスイートを予約したんだ。そこで美味しい物を食べて、そして……」
その後の小松とのあれやこれやを思うと、ついニヤケてしまう俺だった。
「ご主人さまったら、もう……」
「イヤかい?」
「イヤじゃないです……」
小松もまた、ポッと頬を赤らめた。俺と同じ想像をしたんだと思う。
「はっ、ご主人さま!」
「な、何?」
「私、こんな恰好ですよ?」
と言われて初めて気付いたが、小松はスーパーの制服を着ているのだった。
「別にいいんじゃないか?」
「いいわけないじゃないですか……」
「それもそうだな。じゃあ、途中で洋服を買おう? それでいいだろ?」
「はい」
「君が好きな服を買えばいい。ドレスでも何でもさ」
「そんな……。普通の服でいいですから」
「いやいや、せっかくのハネムーンだからね。ちょっとはゴージャスに……」
と言ってから、俺はある事を考えた。
「小松、あの服はどうだろう?」
「あの服って?」
「それはその……メイド服」
久々に、小松のメイド服姿を見てみたくなったのだ。無性に……
「…………」
「小松? 小松ちゃん? ダメかな?」
「ダメに決まってるじゃないですか!」
「あ……そうだよな?」
小松は、例の怒った顔をしていた。ほっぺをプクッと膨らませた、俺の大好きな顔。
俺がシュンとしていると、小松は俺に体を寄せ、甘い吐息と共に、俺の耳元でそっと囁いた。
「お屋敷に戻ったら、いくらでも着てあげますよ」
おしまい。
※最後までのお付き合い、誠にありがとうございました。
2014.4.26 秋風月
「ご主人さま、何か嬉しい事でも?」
横に座った小松が、不思議そうな顔で俺を見ていた。
「そりゃあ嬉しいさ。俺達が相思相愛だとわかったんだからね。それと……」
「はい?」
「ハネムーンへ行こう?」
「は、ハネムーンですか?」
「そう、一晩だけのハネムーン。都心の一流ホテルのスイートを予約したんだ。そこで美味しい物を食べて、そして……」
その後の小松とのあれやこれやを思うと、ついニヤケてしまう俺だった。
「ご主人さまったら、もう……」
「イヤかい?」
「イヤじゃないです……」
小松もまた、ポッと頬を赤らめた。俺と同じ想像をしたんだと思う。
「はっ、ご主人さま!」
「な、何?」
「私、こんな恰好ですよ?」
と言われて初めて気付いたが、小松はスーパーの制服を着ているのだった。
「別にいいんじゃないか?」
「いいわけないじゃないですか……」
「それもそうだな。じゃあ、途中で洋服を買おう? それでいいだろ?」
「はい」
「君が好きな服を買えばいい。ドレスでも何でもさ」
「そんな……。普通の服でいいですから」
「いやいや、せっかくのハネムーンだからね。ちょっとはゴージャスに……」
と言ってから、俺はある事を考えた。
「小松、あの服はどうだろう?」
「あの服って?」
「それはその……メイド服」
久々に、小松のメイド服姿を見てみたくなったのだ。無性に……
「…………」
「小松? 小松ちゃん? ダメかな?」
「ダメに決まってるじゃないですか!」
「あ……そうだよな?」
小松は、例の怒った顔をしていた。ほっぺをプクッと膨らませた、俺の大好きな顔。
俺がシュンとしていると、小松は俺に体を寄せ、甘い吐息と共に、俺の耳元でそっと囁いた。
「お屋敷に戻ったら、いくらでも着てあげますよ」
おしまい。
※最後までのお付き合い、誠にありがとうございました。
2014.4.26 秋風月



