俺がそう言うと、みな一様に唖然とした顔をした。


「そ、そうなの? 結婚のご相手が?」

「はい。決めました」

「あらま。どうしてそれを早く言わないの?」

「すみません。急に決まったものですから……」

「あっ。僕、わかっちゃったかも」


素っ頓狂な声で言ったのは慶次だ。慶次は俺がこれから言う事に気付いたのかもしれない。ま、これまでの流れを考えれば、自ずとそういう結論になるわけで、気付いても不思議はないと思うが。俺が“小松ちゃん”と呼ぶな、と言った意味も解っただろう。


みんなは胡散臭い目で慶次を見て、再び俺に視線を戻した。


「どちらのお嬢さまなの?」

「どちらの、と言うよりも、ここにいますよ」

「ここ? ここって、あなた……」


みんなの視線は自ずと小松に向けられた。


「信之さん。まさか、この子だなんて言わないわよね?」

「いいえ、言いますよ。僕はここにいる本多小松さんと、結婚する事にしました」