「僕は関与してないんだから、いいでしょ?」

「確かにタイムスリッブに関してはそうかもしれないが、おまえ、菊子さんと結託して俺が彼女と結婚するように仕向けただろ?」

「それはあの人に頼まれて仕方なくだよ……」

「仕方なくね……。俺はね、おまえと菊子さんがホテルに入る瞬間の写真を持ってるんだけどな」

「げっ。信之さん、真田十勇士を使ったの?」

「いいや、友人が調べてくれたのさ」

「そっか。あれはね、食事をしただけなんだよ?」

「ほお……。報告書には、バーで飲んだ後、部屋に入って行ったとあるが?」

「う……」


実際には報告書なんて見てないが、確か兼続はそんな事を言ってたと思う。


「パパに言いつけるの? うわあ、困ったなあ」


とか言って慶次は眉を下げたが、もちろんそれは演技だ。叔父は慶次にも妹の珠にも甘く、従って叔父に知られる事を慶次は全く恐れていないはずだから。

となると、慶次への罰はどうしてくれようか。うーん……

あ、そうだ、それにしよう。


「慶次、おまえにはこの家から出て行ってもらう」

「えっ? ……うそ?」

「それがおまえへの罰だ」

「ちょっと待ってよ。そんなのあんまりだよ。まさか本気じゃないよね?」

「いいや、もちろん本気さ」


たちまち、慶次の顔からさっきまでの余裕の表情は跡形もなく消え去り、どうやら本気で焦りはじめたようだ。