僕は余りにも  君を愛しすぎた

「乾杯~!」

仕事帰りに純くんと駅前の居酒屋へ入った。

「莉里、仕事とバイト両方やっているのか?すげえな。」

「うん、早く留学したいの。頑張って資金を貯めているの。」

「そういや、デザインをやっていた時も言っていたよな?」

「うん、純くんは?デリのお仕事ずっとやっているの?」

「ああ。」

「アートはもうやっていないの?」

「親がうるさくて、家業を継げって。」

「純くんちは何屋さんなの?」

「ホテルだよ。」

「本当?すごいじゃない。ホテルのオーナーなの?」

「たいしたことないよ。俺も留学でもしてもっと勉強したいよ。」

「私は向こうでCGを学びたいの。こっちとは比べものにならないほど勉強できると思うの。」

「俺もそう思うよ。でも俺の場合、留学したいなんて親に言ったら行って来いってハッパをかけられるに決まってるぜ。ホテルの経営学でも頭に入れて来いってね。」

「そっか、でも自分の人生なのに自分で選べないなんて私だったら苦しくなっちゃう。」

「あっはっは、莉里らしいね。おまえのアートはいつもスッキリして単純なものが多かったな。普通は多色で複雑にするものなのに。」

「そうお?」

「そうだよ。バイト先のアート事務所で何やってんの?」