「姉ちゃん…っ!」
…そこからの記憶が本当にスッカラカンにないのだ。
気づいたら…300人の、人の海。
全員、気絶していた。
「ねぇ…あ、き…ゲホゲホッ」
「無理して喋んなよ!今救急車をー…」
だけど、俺の携帯を開く手を姉ちゃんが
おさえた。
「…も、う。いいの。達樹のところに行けるし…ね?」
「姉ちゃん…」
「お願いがあるの…ゲホッ…冬歌を頼、んだわ…よ。秋…が、パパに…なって…?」
俺は姉ちゃんの言葉に何回も頷いた。
そんな俺を見て姉ちゃんは優しく微笑むと
すぅーっと息を引き取った。
中3…。
俺は、深いものを負ってしまった。



