「ありがとう。」
あたしが微笑むと、彼はそっと頭を撫でてくれた。
そして意を決したように真剣な顔つきになる。
「…秋?」
「冷夏、俺…。お前の過去聞いた。」
そう、言ってたね。
「…冷夏が俺と初めて会った時、自分のことは知られてるのに自分が知らないのは嫌。とかで俺らに自己紹介させたな。」
…そうね。
それがあたしのポリシーだもの。
「…だから、俺も話す。」
そう言った秋の目を、あたしは疑った。
総長の時の顔でもない。
冬歌ちゃんといるときの顔でもない。
ただ1人の、孤独な少年の顔だったー…。
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