…病院? なぜ病院にいたかって? それはね、 「ところで、冷夏ちゃん。あの時の傷は まだ残ってるの?」 申し訳なさそうに聞いてくる。 「…残ってるわよ、ほら。」 あたしは自分の袖を、腕までめくった。 そこには、大きな傷。 切り傷だ。 しかも、包丁かな? そんな痕。 でも誰も、本当のことは教えてくれなかった。 教えてくれたのは。 あたしの…記憶が欠落してること。