それを間違ってるだのどうだのとやかく言うやつは嫌い。

偽善者なんか大嫌い。

自分の幸せだけが大切だとは言わないけど、結局は自分の幸せが一番大切なんだから、黙って自分の人生正しいと思って生きてればいいの。口出しなんか要らないの。


性格悪い?

そんなの分かってる。とっくに知ってる。でもどうしようもない。これがわたしなんだから。どうしようもない。



「…ゆりっぺ、一回清い恋愛映画観てみたら?」

「は?」

「ツタヤ行こうよお、俺、返したいDVDあんだ。付き合って」

「唐沢って唐突だよね、いつも」

「よく言われる」





柊人君の職場が近いから少し気が引けたけど、今は勤務時間中だし、暇だったし、仕方なく唐沢についていった。

唐沢が手を繋ぎたいって言うから、店内でだけね、と言って手を繋いだ。ばれるかもしれないっていうスリルがたまらないんだとか。とんでもない変態だ。


因みに言うと、唐沢にも彼女がいる。

お互い浮気同士だからこそ、あんなことができる。

ただ刺激がほしいだけ。それだけのために体を貪る。まるで動物のように。



「これ、超おすすめ。まじ泣ける」

「うすっぺらそー。どうせありきたりな落ちでしょ」

「いや、ヒロイン最後出家するかんね」

「………どんな話よ」



唐沢があまりにもはしゃいで恋愛DVDを観るもんだから、わたしはぐいっと唐沢を引っ張りホラー映画コーナーへと向かった。

わたしが好きなのはこっちのジャンルだ。

唐沢はホラー系が本当に苦手らしく、解説を読んだだけで悲鳴を上げていた。


「ちょ、唐沢静かに…」

「え、由梨絵ちゃん?」

「え…………」



コーナーを曲がったその時だった。

どこかで聞いたことのあるような声がして、ふと顔をあげると、そこには柊人君の友人――光流君がいた。

彼は、目をまん丸くさせて、わたしと唐沢が手を繋いでいるのを凝視していた。



…あ、やばいって、思った。