本当にロボットみたいなのに、紺野さんに質問をされると、あたしは弱い。何でも言いたくなってしまう。
でも、さすがに言えないよ。
紺野さんと彼女がイチャついてるのを妄想して寂しくなりました、なんて。完全に変態だよ。気持ち悪いよ。
「…寂しいです」
あたしは今の心境を98%カットして一部分を伝えた。
そうしたら、紺野さんは黙りこくってしまった。
そりゃそうだ。寂しいです、しか言ってないんだもん。大胆にカットしたもん。
「すみません、訳わかんないこと言っ…」
「真冬」
「は」
「電話、切ります」
「あ、はい」
プツッと容赦なく切れた電話。
虚しい機械音だけが、鼓膜を震わせている。
…一体何を舞い上がっていたんだろう。
胸が苦しくなったり、声を聞くだけで鼓動が速くなったり、切なくなったり。
でも、相手にはその気は全く無いって思い知らされた瞬間、一気に何かが冷めて。
途端に現実に引き戻されるんだ。
…虚しく鳴ってる機械音。
あたしは、番号を登録してから、再び布団に入ろうとした。
その時、コンコン、とノックする音が降ってきた。
バッと玄関を反射的に見たが、違う。
ノック音は、今、目の前にある壁から聞こえた。
「え……」



