「はは、真冬心臓の音」
「ぎゃー! 嫌です、離してください!」
「はは」
「笑いごとじゃないですっ」
―――どうしてこんなに、真冬のことになると自信が無いんだろう。
そう悩んできたけど、でも、それは当たり前のことだったんだ。
大切なものほど、失いたくなくて、心配で、不安になる。
でもその不安は、自分の頑張りに繋がる。きっと。
きっとこの先ずっと、その気持ちが絆を深める。
『紺ちゃんのこと、信じてるよ』。
……うん、信じて欲しい。
信じて、いいよ。
絶対、この笑顔を守るよ。
「あ、真冬」
「はい」
「絶対風邪移りましたね。おめでとうございます」
「はっ!!」
「冷えピタいります?」
「それわたしが買ってきたんですー!」
「ははは、大丈夫ですよ、多分これ風邪じゃないし」
「本当ですか!?」
「……うん、多分」
「目を見ていってください……」
とりあえず今の一番の目標は、
お店を出して、
君を一番のお客さんにして、
俺が作った料理を、美味しいって言いながら食べる君の笑顔を見ること。
もう君を怒らせたくないから、体調管理には気を付けて頑張ります。
end



