なんて勝手な人だろう。
薄暗い中でも声で分かる。
大樹さんが…なんでここに?
言葉が出ない私に、ゆっくり近づいてくる大樹さん。
「大樹さん…でしたっけ?」
てっチャンが私の前に立って聞いた。
「てっチャン…あのっ…」
「華乃は黙ってて…?」
てっチャンのあの笑顔が今は少し怖いくらい…
「ああ。悪いんだけど、少し…華乃と話しさせてもらえない?」
「その前に…一発殴らせてもらいます。」
あ…
ガッッ―
言葉と同時にてっチャンは、大樹さんの頬を、思いっきり殴った。
「…ってぇ…。」
「大樹さん…っ」
「華乃の心の痛み、それと俺のただのヤツ当たりです。許してください。」
大樹さんが口を拭きながら言った。
「しっかり受け止めさせてもらいました…。」
フッと笑ったてっチャンは、静かにその場を去って行った。
「てっチャン…本当に…ありがっ「ぢゃあなっ…坂井!」
私の言葉を遮るてっチャン。
陽みたいなキラキラした笑顔…
あんなイイ人を傷付けて…私何がしたいんだろ…
大樹さん…話しって何?
ねえ、早く何か言って…?