そのギタリストの隣に立ち、森脇は彼にこんな言葉を投げ掛けた。
「武道館が恋しくて、土の中から舞い戻って来やがったか、相棒!」
その言葉に森脇の方へと振り向いた顔は、どこをどう見てもプラチナボンバーの喜矢尻には違い無かった。
しかし、そんな事はどうでもいい。
森脇には確信があった。
そのギタリストはニッカリと白い歯を見せ、あの頃と同じ懐かしい台詞を森脇に向けて言うのだった。
「さて、一発派手にぶちかましてやろうぜ!」
森田のスティックが重なり、カウントを数える。
ワン、トゥー、スリー、フォー!
ディストーションの効いたギターリフが響き渡り、武藤のベースがそれに合わせる。森脇が吼えると、観客は一斉に総立ちとなった。
トリケラトプス、史上最強のライブが始まった瞬間だった。
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