「私は、テン・ヒャマラダ・カサヤンミリャアナブ・コタヤローナアキメ・リャカナテベン・マレッシャワナーン…」

「じゃ、テンね」

遮った。

そんじゃそこいらのことでは驚かないけど、ちょっとびっくりした。

自分の名を覚えていることに。

テンはインドから来たらしい。

浅黒い肌に彫の深い顔、薄気味悪いくらいに白い歯に、透き通った瞳。

なんだか眩しかった。

そう思ったのは最初だけだったけど。