スポーツ紙には……
俺の写真。
『里谷元成、鮮烈のデビュー戦!!』
そんな、見出しと共に…、
分不相応にも、デカデカと載せられた記事に…、違和感を抱くばかりだったけれど。
これは、ただの刷り代わりなんじゃないかって…思うようになった。
たいせーが出場していたら。
きっと、ここには…君が載っていたんだろう、って。
だって、サブタイトルにはオマケみたくして、
『~ライバル(友利)の想いを背負って~』と――…君の名も、あったから。
オマケなのは…、いつも、俺。だからこれも、本当は……。
この大会を機に、
たいせーの怪我と、闘病してるってニュースが。
いよいよ、日本中を――…駆け巡った。
「モト、着いたぞ?」
「……え…、ああ……。」
日本に帰国してすぐ…、俺がやって来たのは。
君が居る、病院であった。
「下のカフェで待ってるから。」って…、
親父は手をひらつかせたけれど。
ひとたび、前に進めようとした足が…すくんでいた。
「なんだよ…、『想いを背負って』って。俺、会うの初めてなんだぞ……?」
ライバルで友人である友利を元気付けるような、見事な滑りだったと…称されたけれど、
実際は……
何も考えられず、ただただ、無心でアタックしただけだった。
それに――…
本当は。
連絡のひとつも、とれやしなかった。
ましてや、会うことなんて……。