「だから―…、今の目標は。まずは普通に歩けるよになって…、きっともう、激しいぶつかり合いはできないだろうけど、楽しいバスケが出来るくらいには…復活することかな。」
「…………。」
ノアの言葉のように。
ここの人達は…、みんな、どこか前向きだった。
秀子さんは、すり減った股関節を…、人工関節に換える手術をして。
自分の父親の介護をしなきゃあ、って、リハビリに励んでいる。
一方…、俺よりも小さな「夏菜」は。
前十字靭帯断裂の大怪我を抱えながら…
バレエのコンクールへの出場に意気込んでいた。
誰一人。後ろを振り返っちゃあいない。
先ばかりを――…見つめていた。


