青く、高く、潔く





それから…直ぐに。


俺は、ノアと…親しくなった。




「え。交通事故?しかも、バイクって……。」


「……しーっ、声デカイよ、お前。」


「だって、バスケで怪我って……」


「カッコつかねーからな。それに…、運転してた先輩に悪いし。」


「…………。」


「いやあ、な。若気の至りっていうの?バスケしてたっつーのは本当。けど、中学ん時みたいにセンスだけじゃあどーにもならんって、タッパもなけりゃあレベルの違いに気づいかされてさあ…。部活サボって、中学時代の先輩とつるんで…2ケツして夜の街に繰り出した訳だ。で、車にバーンと!」


「……。若気って…、それ、いつの話?」


「ん。三週間ほど前。」


「……………。……最近じゃん。」


「いーんだよ、細かいこたあ。先輩が無傷だったってのがせめてもの救いだったよ。」


「……で、ソレ…、どうなってるの?」


俺はノアの足を固定するギブスのようなものを……指差した。


「……あー…、ここ?二ーブレスん中、見る?」



彼が剥き出しにした、足には…


血が固まったかのような…黒い断裂線。

痛々しい傷口と、至る所に内出血のようなものが…残されていた。


「複雑骨折っつって、骨が肉を突き破って出てたんだぜ?」


「…………。」


「……で、膝の骨も、おかしーかんじに崩れてたし…。なのに、ずっと点滴だけで1週間ちょいそのまま!マジ死ぬかと思った…。」


「…………。歩けるの…、コレ。」


「……んー…、まだ、全然。手術して、それから割と直ぐにリハビリして、今は何とか…腫れも引いたし、55度くらいは曲がるようになったかな?そとそろCPMって機械でリハビリする時間――…、そーだ、大成、見てみるか~?俺の勇姿を。」


「……………。」


「こら、何とか言えよ。言ってて虚しいじゃん。」



「……だって、バスケ…。」


「正直俺は…そこまでは望んでないぞ?けどさ、怪我して初めて…日常の有り難さが分かった。ここではさ、俺は赤ちゃんと同じで…。何一つ自分でできねーんだよ。それこそ、う〇こひとつ。若い看護師に世話んなったときは己の羞恥心のピークに達したね。身体はキレーに拭いてくれちゃうし、性欲も……。イヤ、ゴメン。今のは何でもない。まあ、だ。とにかく我慢して、挙げ句の果てに…便秘になって、結局美人看護師に…浣腸されて。こう見えても、全中に出場した名門校出身なんだぞ、俺。それなりにプライドっーもんもあったけど…。もう、捨てた。ソレどころじゃねーもん。動かない足見る度に…、無性にバスケがしたくなった。矛盾してるだろ…?辞めたくて仕方なかった癖に――…。」


「…………。」