診断を受けた次の日から。
母さんは仕事を休んで、色々な場所へと…駆け回っていた。
暇を間て余した俺は、学校に行きたいと主張したけれど……。
「駄目!松葉杖でちょっと操作誤ったら…
今度は、ただじゃあ済まないんだから!」
って…、すごい剣幕で怒鳴られた。
親父との会話の中で、市役所やら保健所…それから、学校っていうキーワードもあったから。おそらく、それらに出向いているのだろうけど……。
忙しそうにしている傍ら、妙に張り切っているような感じがするのは。勘違いでは…ないだろう。
母さんは、俺ら子供達がしたいと言ったことは、徹底的にやらせる主義で……。スノーボードを始める際に、用具を揃えてくれたのも、休日にはゲレンデまでの行き来を買って出たのも。そう言えば…、彼女だった。
マイペースな親父では、務まらないと思っていたのかも…しれない。
だからこそ、余計なことは言えないような気がして。部屋にこもって…過ごすことにした。
部屋では、とにかく爆音で音楽を流して。
スノーボードのDVDばかりを観ていた。
目を閉じれば、そこに……
真っ白な雪の壁。
自由に空を舞う自分をイメージして、ノートに……メモをとろうと、シャープペンを握る。
「……………!」
脳裏に浮かんで来たのは。
ボトムから…見上げた空。
持っていたペンが、音を立てて…
床へと落ちていった。


