賑やかな…会場。
表彰台で抱き合う…選手達。
その、一番高い所――…
そこにいたのは……
俺。……では、ない。
結果は…3位。
挑んだキャブダブルフォーティーで…着地に乱れが出た俺は…。
1回目の無難にこなしたルーティーンの得点が採用さて、この…結果。
この、デカイ大会で…、名の知れた選手に囲まれて。これだけの…成績が残せたっていうのに。
悔しくて、情けなくて…。
笑っているのに…泣きたい気分だった。
けれど、後悔だけは…していない。
やらないで後悔するよりも、やって後悔した方が…涙も…出るもんなんだな…。
掛けられたメダルは、ずっしりと……重たくて。
高い位置に立つ、デイビットの胸に輝く金のそれを横目で見ながら…
今の自分の実力を、痛感したのだった。
簡単には……、取れない。
取らせてなど…くれない。
ここに…、アイツがいれば。
アイツさえ…いれば。……と、そんな想いを巡らせた時だった。
「………ん?」
日本のメディアと思われる…クルー達が。
何故か…こちらに背を向けて。
おまけに、カメラを…自分じゃないあさっての方向に向けて…撮影しているじゃあないか!
「……………あ。」
それも……、その筈だ。
ここにいる訳もない、ヤツの姿が…そこに、あったのだ。
「………たいせー……。」
俺は、表彰台をかけ降りて…、その、少年の元へと…走って行く。
可笑しいだろう?
だって、アイツは退院したばかりで……。
どうして、
何で…いるんだ?
俺は、こんな姿を…見せたかったんじゃあないのに。
たいせーの背は…、決して高くない。
何せ…観客に紛れて、埋もれてしまうくらいだ。
けれど……、俺は。
いや、俺達は。
やっぱり…見つけてしまうのだ。
君の姿は。
空を…駆け抜ける…君のエアーは。
人を惹き付け…、人の記憶に…残って。
皆、まだ……
それを求めて止まないのだ。


