【RAND(ランド)研究所】からの帰路。
車中では特異な会話がなされていた。
「ベンリー社長の脳天気振りには笑えるものがあるな」
黒男は助手席から前だけを見て話かけた。
「確かに……、黒い噂が絶えない企業ではありますね。多くの陰謀説に名が挙がる」
「軍産複合体を噂されてる割には、身勝手な正論を盾に油断してる証拠だよ。研究が彼等の正論だ」
米国での軍産複合体とは、軍需産業と国防総省(軍)と政府が形成する政治的・経済的・軍事的な連合体を呼ぶ考え方である
。
「軍需産業にも正義を振るうつもりですか?」
黒男の回答にやはり前を見て運転を続ける秘書は物知り顔で冷やかすように尋ねた。


