すり寄ってくる者達は、スティッチと、今スティッチが潜ってきた扉の二手に別れて何かを訴えていた。 が、それが何かは上手く聞き取れない。 皆正気を失い、瞳孔の開いた目で、爪のない手を差しだし……、 歯のない口でもごもごと、頼りなさげに語る何か。 性器をもぎ取られ痛みに耐えながらも、尚理性を無くさないスティッチは聞き取れないはずの“何か”を感覚で理解した。 『殺して……。殺して下さい……』 皆、新しい来訪者……、いや、新しい住人に哀願しているのである。 理性を保ち、力の残る新しい住人へ……