しかし、自身の置かれた状態を考えると不可能である事は明確であった。
Gag(猿轡)を兼ねたフェイスマスクは顔面を覆い、効き目とは逆の目の部分に小さな穴が開いているのみである。
片目で僅かに見える景色に奥行きはない。
口元は開いたまま固定され、舌を噛みきる事は不可能であるが、そんな気はさらさらなかった。
両の腕は腹と背中で皮製の特別な束縛具で繋がれ……
通されたチェーンを四人のUSMC(アメリカ海兵隊)がしっかりと握っていた。
両足にもチェーンが巻かれていたが、歩く事に不自由はない。
しかしスティッチは、道徳と常識の縛りから逸脱すると、具体的な“縛り”が待っているのだと云う事を改めて実感していた。。


