スティッチはあの日、オルベラ街の廃墟の一角で黒男と交わしたやり取り以後、日常では一言の言葉も発していなかった。
僅かなメッセージ一つで様々を理解し、自分の前に忽然と現れた黒男はやはり相応しい人間なのだと堪らなく嬉しかった。
MPOI(Maximum penalty of indefinite)
─無期限の極刑─を言い渡されたスティッチは、一審での判決をすぐさま受け入れた。
意義も不服も感じてはいなかった。
だがこの時ばかりは、黒男ともう一度言葉を交わしたいと考えながら車に揺られていた。
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