あの電話以来久しく話していないスティッチであったが、意外にも番号は変わってはいなかった。 それどころか、出ないと思っていた電話にコール三回で久々の声を聞かせた。 二言、三言のたわいもない言葉を交わした後、約束の時間を決めて二人が落ち合ったのは深夜のオルベラ街。 密かに落ち合う場所は幾らでもあった。 数年振りに顔を合わす二人の間には、互いに察知しあったような心地の良い空気が流れていた。