黒男の躍進が始まってからというもの、残されたカムは実家に戻って暮らしている。 何歩も譲歩した挙げ句、籍を抜かない事を条件に黒男とカムの住まいを引き上げ、カムに実家で暮らす事をサーが了承させたのである。 カムの存在自体に重きを置かない黒男は、自宅が引き払われている事すら知らなかった。 サーはそうまでして黒男を愛し続ける娘が不憫でしかたなかったが、その黒男の力を借りなければならない自分に更に不憫さを感じていた。