スティッチの特筆すべきは、クレアの失踪劇の示唆である。
“加害者”や“容疑者”としてでなく、クレアを“被害者”の側として事件に僅かな関連を持たせた。
そうする事で、まず先に予備線を張ったのである。
世間が連続殺人に目を向けた時、すでに行方が不明であったクレアは必然的に“被害者”としての可能性を生み出した。
クレアとの交際の歴を公然としていたスティッチは、いずれクレアへの予備線が自分に行き着く事がわかっていたからである。
クレアへの被害者である可能性を、“生”ある事で遮断する事は、同時に事件との関連をも遮断する事を意味する。


