「いやいや、本当に無事で何よりですな。本当に……いや、実に幸運だ」
眉間に入った皺にもお構い無しで、クレアの父と母は上機嫌で答えた。
「ありがとうございます。どうもお手数おかけしてしまって。まったくうちの娘は呑気で……ええ、ええ、何よりでしたよ」
(手数どころの話じゃあないんだ。脳天気な奴らめ。呑気はあんた達も同じだ……)
追い討ちをかける様にクレアが口を開いた。
それも馬鹿にでもする様な口調で……冷めた目つきで。
「ところでミスター。私の不在でスティッチに疑いが掛かってたんですって?」
サーは傷口にでも触れられたような気になった。


