サーの下に報告があったのはスティッチ確保翌日の早朝。
朝の苦手なサーは不機嫌さを露わにしながら電話を受けたが、その内容は眠気を覚ますには余りある吉報であった。
「サー!スティッチの身柄が確保されました。ベガスです。」
部下の声色には明らかな動揺があった。
サーもまた、想像していなかった急報に一瞬動転した。
世間にはまだ公表出来ないこの男こそ、サーの勘は既に頭の中で“容疑者”として見ていたからである。
「街中で呆気なく発見したそうでして……」
「俺が出向く。チケットを……」
サーは意気込んだ。
クレアの居所を知る手掛かりの為ではない。殺人事件の犯人として対峙する為である。


