正人は頭の良い男ではない。 いや、まだ社会そのものの経験も少ない“半端”な青年であった。 だからこそ発言出来る“軽い”発想が詩織に響くのである。 そしてまたそれが正人の考えうる最大の悪あがきであった。 「俺の子供でもその人の子供として産めばいいじゃん。黙ってたらいいでしょ、俺も……、ア、ナ、タ、も……」