JUNK LAND【→】


当然──

この当たり前にして最低限の“可能性”。
それを“無いもの”としていたのが詩織の最大の緩さであった。


卵子と精子が受精をして……


こんな事は勿論詩織は知ってはいた。

が、幼い頃から恋に恋してきた詩織は、それが愛する人の子供であると信じて疑わなかったのである。

この妄想にも似た思い込みは、愛情にすら“依存”する詩織から常識を奪っていた。