詩織は、初めて“受け身”で得た吉行からの愛情表現に歓喜していた。 今まで吉行の腕の中で感じてきた“愛情”とは、全く違う抱擁であった。 そしてまた、詩織自身も授かった小さな命を愛おしくてしかたのない気持ちでいっぱいだった。 愛する人の子供が産める。 その初めての喜びは至福のものであった。 「性と薬に溺れてる場合じゃないよね。もう正人とは終わりにしなきゃ……」