その時、始めてにして唯一、スティッチは自らの口で自身の狂気を言葉にした。 数多くの教養を身に付け、語る理由すら明確であったにも関わらず、スティッチ本人も少々戸惑いながら。 (何と伝え難い感覚なのだろう……) この感覚を他者に理解させる事の難しさと無意味さを改めて知るのではあるが……、しかし取り立てて本質を理解させたい訳ではない。 スティッチは自分の“癖”を語る事で、クレアに見えない“鎖”をかけて行った。