あまりの幸せに、クレアには忘れてしまっていた事が三つあった。 一つはスティッチからあの突き刺すような鋭利な雰囲気が消えてしまっている事。 一つはノーラとの出来事。 一つは何故スティッチ程の男性が自分のような人間とこんなに親しい関係になったのかと云う事。 クレアがスティッチと再会してからと云うもの、本来働かなければならない“思考能力”や“五感”は、全て喜びの感情に掻き消されていた。 一つ目と二つ目の課題に無意識に気付き、同時に解決したのは始めて体を重ねた時であった。