Old Court House(オールドコートハウス)の時計台の下で交わしたKissは、クレアにとってはFirst Kissであった。
テラスの幻想的な雰囲気の中で余韻に浸りながらスティッチの話を聞いていたクレアは、話の内容等もはや上の空であった。
「ここは全米で一番美しいとされる裁判所なんだ。人を裁いて罰を言い渡す場所が美しいなんて、随分滑稽だと思わないかい?」
「そうね。その通りだと思うわ」
「ここではコンサートなんかもするんだ。所詮、罪も罰も被害も加害も、他人の事なんてすぐに忘れてしまえるんだよ。人の心理なんて軽いものさ……」
クレアは上の空で……しかし相槌は忘れなかった。
「俺がもし罪を犯したなら、こんな美しい場所で裁かれるなんてごめんだ」
やはりクレアは差ほど理解出来ないままに静かに、大きく頷いた。


