すっかり体力も思考能力も低下したクレアには、アメリカ西海岸の温暖な気候すら肌寒く感じた。
心が荒んでいたせいもある。
ぶらりと通りがかった有名な大学。
そのCampusに集う若者達は皆、薄着で気持ち良さげに談話に勤しんでいた。
「私にもあんなCampus Lifeを送る人生もあったのかしら……」
羨ましくもあり、嫉妬に腹立たしくもあるその光景を眺めながら、
「あんな事がなくたって私には無理ね。せめて美しければ……」
そう皮肉っては毎日足繁くその場所に通い、同年代の男女の様を観察するのが日課になった。


