過小評価故に手に入れた全てが見せかけに感じ、実質の伴わないうわべだけの現実に見える。 虚像と虚飾。 その誤解が自らの考えを卑屈なものにし、更なる器用さを発揮してしまうのである。 狡猾に生きる事で払拭する欲望。 そんな自らに全てを照らし合わせるからこそ他者を心底信じる事すら出来ないでいた。 様々な物に疑いの目を向ける彼は、そしてまた人生の価値を見失うのである。 悪循環の病みに侵された彼に変化が起きたのは詩織との付き合いの中でだった。