詩織は恋に恋をしていた。 吉行は詩織にとって最高の男性に見えた。 生まれてから歩む環境で、人は人格の上に常識を纏う。 詩織の歩んで来た道は所謂“箱入り” 大切に大切に育てられた彼女は、世間は俗世と教わった。 日本で云う所の“Celebrty”とはまた違った意味で上流階級の娘であった彼女は、籠の中の鳥のように育てられ、身も心も健全たる女性として成人していた。