この時期、秘密裏に進められていた法改正の事は世間はまだまるで知る由もなかった。

「この改正が纏まれば我々は世界に一目置かれる事になるな」

「同時に危険視も否めません」

「いやなに、すぐに同調するさ」

「国民も……ですか?」

「議論の行く先を無くすかも知れんな。またすぐに反対派が騒ぐのだろうが、それも一時だ」

「大臣の理念はもはや浸透してます。少なくとも能無しの政界ではこれ以上の反対は無理でしょう」

「そうだな。しかし君も論理的だ。そもそもこれは君のテコ入れだ。君のバックアップがあればこそだよ」

「恐れ入ります」